正直に言うと、私が初めて「ファクタリング」という言葉を知ったのは、会社が倒産寸前まで追い込まれた時でした。
東大阪で自動車部品の町工場を始めて3年目、主要取引先からの入金が突然3ヶ月も遅れて、従業員の給料も払えない状況に…。
妻からは「大丈夫?」と毎日心配され、高校生の息子の塾代も滞納しそうになって、本当に情けなかったです。
銀行に相談しても「審査に2週間はかかります」の一点張り。
そんな八方塞がりの時、同業者の先輩から「田中くん、ファクタリングって知ってるか?」と声をかけられたんです。
「怪しいもんちゃうんか?」
半信半疑だった私が、今ではこのファクタリングに何度も救われています。
この記事では、同じように資金繰りで頭を抱える経営者のあなたに、私の8年間の経験のすべてをお伝えします。
目次
そもそもファクタリングって何なん?難しい言葉は使いませんで
私の言葉で説明すると「売上を前借りできる仕組み」です
「売掛債権の売買」なんて難しい言葉は一旦忘れましょう。
要は、取引先から来月もらえるはずの売上(請求書)を、ファクタリング会社に買い取ってもらって、今日・明日に現金を手に入れる方法です。
大事なことなので言いますが、これは銀行の融資とは全くの別物。
借金やないから、担保も保証人もいらんのです。
私も最初は「そんなうまい話あるかいな」と、正直かなり疑ってました。
銀行融資と何が違うん?私が実感した一番の違い
一番の違いは、やっぱりスピードやね。
銀行融資は会社の成績表(決算書)を隅々まで見られて、とにかく時間がかかる。
でもファクタリングが見るのは、うちの会社やなくて「取引先の信用力」なんです。
ちゃんとした会社に請求書を出してさえいれば、たとえうちが赤字決算でも、税金をちょっと滞納していても、利用できる可能性があるんです。
あの時、銀行が相手にしてくれへんかった私でも、相談した翌日には現金が振り込まれた。
あの衝撃と安堵感は、今でも忘れられません。
私がファクタリングを使い始めた「本当の理由」
創業3年目、突然の資金ショート。あの時は本当に焦りました
あれは2016年の夏でした。
売上の4割を占める大手さんからの支払いが、その親会社の都合でピタッとストップしてしまったんです。
800万円の入金が宙に浮いて、従業員10人の給料日があと数日に迫っていました。
材料の仕入れ先からは催促の電話が鳴りやまへんし、家のローンもある。
夜も眠れず、資金繰り表とにらめっこする毎日。
工場で頑張ってくれている従業員の顔を見るのが、本当に辛くて…。
今思えば、あの時の私は精神的にかなり追い詰められていました。
妻に「会社、大丈夫なん?」と泣きつかれた夜
家では気丈に振る舞ってたつもりでも、やっぱり家族にはバレますわな。
ある晩、妻から「あなた、最近全然眠れてないでしょ。会社、大丈夫なん?」と泣きながら言われて。
長男の高校受験も控えてる大事な時期に、家族にまでこんな心配をかけている自分が、本当に不甲斐なかったです。
銀行は頼りにならん。
でも、会社を潰すわけにはいかん。
従業員とその家族の生活もかかってる。
まさに崖っぷち。
そんな時に出会ったのが、ファクタリングやったんです。
【8年間の経験で語る】ファクタリングのメリットと正直しんどいデメリット
メリット:何と言っても「スピード」が会社を救う
ファクタリングの最大のメリットは、もうこれに尽きます。
入金までの圧倒的な速さです。
私の初回利用時も、相談した翌日には800万円が振り込まれました。
あのスピードがなければ、うちの会社は間違いなく潰れていました。
急な設備故障や、大口受注による材料費の先行支出など、私たち製造業には急な資金需要がつきものです。
そんな時の「お守り」になるのがファクタリングやと、私は本気で思ってます。
デメリット:手数料の高さと悪質業者の存在
ええことばかりやありません。
正直に言うと、デメリットも強烈です。
一番は、手数料の高さ。
私が初めて利用した時の手数料は、なんと20%!
800万円の売掛金が、手元に来た時には640万円になってました。
「高い!」と叫びそうになりましたが、会社が潰れるよりはマシやと、歯を食いしばって決断しました。
また、中には法外な手数料を要求する悪質な業者もいます。
私も一度、手数料30%を要求する業者に遭遇したことがあります。
ここをしっかり見極めないと、逆に資金繰りを悪化させることになりかねません。
2社間と3社間、どっちがええの?私の大失敗から学んでください
取引先にバレへん「2社間ファクタリング」
これは、私とファクタリング会社の2社だけで契約する方法です。
取引先に通知がいかへんので、「資金繰りに困ってるんか?」と勘繰られる心配がないのが最大のメリット。
私も、今ではほとんどこの方法を使っています。
ただ、ファクタリング会社からすると、売掛金が本当に支払われるかどうかのリスクが高いので、手数料はどうしても割高になります。
手数料は安いけど…「3社間ファクタリング」での苦い経験
手数料を少しでも安くしたくて、一度だけ3社間ファクタリングを使ったことがあります。
これは、私とファクタリング会社、そして取引先の3社で契約する方法。
取引先の承諾が必要で、売掛金も取引先から直接ファクタリング会社に支払われます。
手数料は確かに安かった。
でも、取引先にファクタリングの利用がバレて、「タナカさんとこ、経営大丈夫か?」と、ものすごく心配をかけてしまったんです。
幸い、長年のお付き合いがあったので関係悪化とまではいきませんでしたが、あの時のヒヤッとした経験から、私はもう2社間ファクタリングしか使っていません。
手数料の安さだけで飛びついたらアカン、という大きな教訓になりました。
【ここが一番大事!】信頼できるファクタリング会社の選び方
私が悪質業者を見抜いた3つのポイント
私の経験上、怪しい業者には共通点があります。
- 契約書の内容が曖昧:契約書を渡そうとしない、もしくは内容がやたらと複雑で分かりにくい。
- 手数料の内訳が不透明:基本手数料の他に、よく分からない名目の費用を後から請求しようとする。
- 担当者が高圧的:こちらの質問に真摯に答えず、契約を急かそうとする。
私も一度、契約直前で「なんかおかしいな」と感じて取引を中止したことがあります。
あなたの会社を守るためにも、少しでも違和感があったら、勇気を持って断ってください。
良い担当者との出会いが、経営を安定させる
今のメインの会社とはもう6年のお付き合いです。
そこの担当者さんは、ただ事務的に手続きするだけやない。
「田中さん、最近どうです?」「この案件なら、もう少し手数料勉強できますよ」と、いつも親身になって相談に乗ってくれます。
手数料が初回20%だったのが、今では継続利用で5%まで下がったのも、この信頼関係のおかげ。
手数料の安さも大事ですが、長い付き合いを考えたら、何でも話せる担当者を見つけることが一番やと私は思います。
よくある質問(FAQ)
Q: ファクタリングって違法じゃないんですか?
A: 私も最初はそう思いました(笑)。でも、ファクタリングは「債権譲渡」という法律で認められた正当な金融取引です。 ただし、ファクタリングを装って高金利の貸付を行うヤミ金のような悪質業者がいるのも事実。だからこそ、信頼できる会社選びが本当に重要なんです。
Q: 赤字決算なんですが、利用できますか?
A: はい、利用できる可能性は十分にあります。ファクタリングの審査で重視されるのは、自社の経営状況よりも売掛先の信用力だからです。 実際に私も、業績が厳しい時期に何度も助けてもらいました。銀行融資を断られた経営者の方にこそ、知ってほしい選択肢です。
Q: どんな書類が必要ですか?準備が大変そうで…。
A: 基本的には「身分証明書」「請求書」「通帳のコピー」の3点があれば、審査してくれるところが多いですよ。 もちろん、契約時には会社の登記簿謄本や印鑑証明書なども必要になりますが、銀行融資に比べたら準備は格段に楽です。
Q: 手数料の相場はどれくらいですか?
A: 私の経験や同業者の話を聞く限り、2社間なら8%~18%、3社間なら2%~9%あたりが相場感でしょうか。 ただ、これはあくまで目安です。売掛金の金額や取引先の信用度、あなたの会社の利用実績によって大きく変わります。必ず複数社から見積もりを取ることを強くお勧めします。
Q: 取引先に知られずに利用できますか?
A: はい、「2社間ファクタリング」を選べば、取引先に知られることなく利用できます。私も取引先との関係を考えて、ほとんどこの方法を使っています。ただし、万が一あなたがファクタリング会社への支払いを怠ると、取引先に連絡がいく可能性があるので、そこは誠実に対応する必要があります。
まとめ
ここまで私の体験談を読んでいただき、本当にありがとうございます。
ファクタリングは、手数料が高いという大きなデメリットはありますが、正しく使えば、いざという時に会社と従業員、そして家族を守ってくれる力強い味方になります。
特に、私たち製造業は入金サイクルが長く、急な出費も多い。
銀行だけを頼りにするのは、今の時代、少し心もとないかもしれません。
もしあなたが今、一人で資金繰りに頭を抱えているなら、この記事を思い出してください。
- ファクタリングは借金ではなく「売上の前借り」。
- 銀行がダメでも、スピード解決できる可能性がある。
- 手数料だけで選ばず、信頼できるパートナーを見つけることが何より大事。
私の失敗談が、あなたの会社を守るための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。
一人で悩まず、まずは信頼できそうな会社に相談から始めてみてください。
きっと道は開けます。