初回ファクタリングで手数料20%!それでも会社を救ってくれた話

by 田中健一 On 8月 10, 2025

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正直に言うと、私が初めて「ファクタリング」という言葉を知ったのは、会社が倒産寸前まで追い込まれた時でした。

創業3年目の夏、主要な取引先からの入金が突然3ヶ月も遅れ、従業員の給料日が刻一刻と迫っていました。
銀行に相談しても「審査に2週間はかかります」の一点張り。
妻からは「大丈夫…?」と心配され、高校生の息子の塾代の支払いも頭をよぎる…。

そんな八方塞がりの状況で、同業の先輩から藁にもすがる思いで教えてもらったのがファクタリングでした。
提示された手数料は20%。
最初は耳を疑いましたが、それでも会社と従業員、そして家族を守るためには、この道しかないと決断したんです。

この記事では、当時の私の壮絶な体験と、そこから学んだことを包み隠さずお話しします。
もしあなたが今、同じように資金繰りで悩んでいるなら、きっとこの記事が役に立つはずです。

あの日の絶望感…手数料20%でもファクタリングに賭けるしかなかった状況

突然の入金遅延!創業3年目の悪夢

あれは忘れもしない、創業3年目の蒸し暑い6月のことでした。
売上の4割を占める主要な取引先から、突然「親会社の都合で支払いが3ヶ月遅れる」と連絡が入ったんです。

当時のタナカ精密工業は、まさに自転車操業。
その800万円の入金を元手に、従業員10人分の給料や材料費の支払いを計画していました。
それが、一瞬にして崩れ去ったのです。

夜も眠れず、事務所でひとり、何度も資金繰り表を眺めてはため息をつく毎日。
手元の現金は、あっという間に底をつこうとしていました。

銀行融資では間に合わない…迫るタイムリミット

真っ先に思いついたのは、もちろん銀行からの融資です。
しかし、メインバンクの担当者から返ってきたのは「新規の融資となると、審査だけで最低でも2週間は…」という非情な言葉でした。

給料日は、もう1週間後に迫っています。
「規則ですから」と言われた時の、あの無力感は今でも忘れられません。
中小企業にとって、銀行の扉は想像以上に重く、固いものだと痛感した瞬間でした。

家族にだけは心配をかけたくなかった

何より辛かったのは、家族に心配をかけることでした。
妻はパートで家計を支えてくれています。
高校2年生の息子と、中学2年生の娘にも、お金のことで不安な思いはさせたくない。

家では平静を装っていましたが、内心では倒産の恐怖で押しつぶされそうでした。
会社の未来だけでなく、家族の生活も自分の両肩にかかっている。
その重圧に、本当に押しつぶされそうだったんです。

ファクタリングとは?当時の私が理解した「会社の命綱」としての仕組み

そんな時、見かねた同業の先輩経営者が教えてくれたのが「ファクタリング」でした。
正直、最初は「そんなうまい話があるわけない」と半信半疑でしたね。

「借金」ではなく「資産の売却」という考え方

よくよく話を聞いてみると、ファクタリングは銀行融資のような「借金」とは全く違う仕組みでした。

簡単に言うと、会社が持っている売掛金、つまり「未来にもらえるはずのお金(債権)」をファクタリング会社に買い取ってもらうことで、前倒しで現金化するサービスなんやで、と。

借金ではないので、決算書に負債として載ることもない。
担保も保証人もいらない。
当時の私にとっては、まさに「会社の命綱」のように思えました。

2社間と3社間の違いと、私が2社間を選んだ理由

ファクタリングには、取引先に通知して承諾を得る「3社間」と、自社とファクタリング会社だけで契約する「2社間」があると教わりました。

3社間の方が手数料は安い。
でも、取引先に「タナカ精密工業は資金繰りが厳しいのか?」と要らぬ心配をかけたくなかった。
信頼関係が何より大切なこの商売で、それは避けたかったんです。

だから私は、手数料が高くなることを覚悟の上で、取引先に知られずにスピーディーに資金化できる「2社間ファクタリング」を選びました。

衝撃の手数料20%!それでも私がファクタリング利用を決断した3つの理由

紹介されたファクタリング会社に恐る恐る連絡し、提示された見積もりを見て、私は言葉を失いました。
売掛金800万円に対して、手数料が20%の160万円。

頭が真っ白になりました。
160万円あれば、新しい機械の頭金にだってなる。
しかし、私にはもう迷っている時間はありませんでした。
私が利用を決断した理由は、たった3つです。

理由1:従業員の給料だけは絶対に遅らせられない

これが最大の理由です。
毎日汗水流して働いてくれている従業員たち。
彼らには、それぞれの生活があり、守るべき家族がいます。

彼らの顔を見るたびに、「この人たちの生活を、自分のせいで壊すわけにはいかない」と強く思いました。
経営者として、従業員の給料だけは絶対に遅らせられない
その一心でした。

理由2:黒字倒産だけは避けたかった

売上は立っている。
仕事もある。
それなのに、手元に現金がないだけで会社が潰れてしまう「黒字倒産」。
これだけは、絶対に避けたかったんです。

この危機さえ乗り越えれば、タナカ精密工業はまだ成長できる。
そう信じていました。
だから、160万円の手数料は、単なるコストではなく「未来への投資」なんだと自分に言い聞かせました。

理由3:翌日入金というスピードが何よりの価値だった

銀行融資では決して得られない、圧倒的なスピード感。
「明日には800万円から手数料を引いた640万円が振り込めます」と言われた時、これこそがファクタリングの最大の価値だと確信しました。

160万円という手数料は、会社が生き残るための「時間を買うためのお金」やったんや、と。
そう思うと、不思議と決断に迷いはありませんでした。

失敗から学んだファクタリングとの賢い付き合い方

おかげさまで、翌日には無事入金があり、給料も支払え、会社は最悪の事態を免れました。
しかし、私のファクタリングとの付き合いは、ここからが本番でした。

初回利用後の反省点と悪質業者との遭遇

一度目の成功に安堵し、次に資金が必要になった時、私は業者選びを少し疎かにしてしまったんです。
ネットで見つけた手数料の安そうな業者に連絡を取ったところ、なんと30%という法外な手数料を要求されました。

それだけでなく、契約書をよく見ると、小さな文字で追加費用についても書かれていたんです。
あの時、契約直前で思いとどまって本当に良かった。
この失敗から、業者選びの重要性を痛感しました。

優良業者を見極める3つのポイント

私の失敗経験から学んだ、信頼できるファクタリング会社を見極めるポイントは3つです。
これだけは、必ずチェックしてください。

  • 手数料の透明性
    • 見積もり以外の追加費用がないか、明確に確認しましょう。
    • 手数料の内訳をきちんと説明してくれる業者は信頼できます。
  • 担当者との相性
    • あなたの会社の状況を親身になって聞いてくれるか。
    • 質問に対して、ごまかさずに誠実に答えてくれるか。
    • 長い付き合いになる可能性もあるので、信頼できる担当者を見つけることが大切です。
  • 契約書の内容
    • これが一番重要です。特に「償還請求権(買い戻し義務)」がないか、必ず確認してください。
    • これがあると、万が一取引先が倒産した場合、あなたが返済義務を負うことになり、実質的な借金と同じになってしまいます。

今では手数料8%に。継続利用で得られた信頼

悪質業者との遭遇という失敗を経て、私は今のメインのファクタリング会社と出会いました。
最初は手数料12%からのスタートでしたが、継続して利用し、信頼関係を築くことで、今では8%まで手数料を下げてもらっています。

初回は高くても、利用実績を積むことで条件が良くなる可能性は十分にあります。
諦めずに、誠実な業者と長く付き合っていくことが大切やで、と伝えたいです。

よくある質問(FAQ)

Q: 手数料20%は法外な金利ではないのですか?違法ではないですか?

A: 正直、私も最初はそう思いました。
でも、ファクタリングは融資と違って「債権の売買契約」なので、利息制限法の対象外なんです。
もちろん、あまりに高すぎる手数料を提示してくる業者には注意が必要ですが、緊急時の2社間ファクタリングでは、残念ながら相場の範囲内と言われています。

Q: 審査ではどのようなことが見られるのですか?赤字決算でも利用できますか?

A: 私の経験では、自社の経営状況よりも、売掛金のある取引先がしっかりしているかどうかが一番見られますね。
だから、赤字決算だったり、銀行融資を断られたりした後でも利用できるのが、本当にありがたい点です。

Q: 家族にはファクタリングの利用をどう説明しましたか?

A: これが一番悩みましたね…。
妻には正直に「会社の資金繰りのために、売掛金を先に現金化するサービスを使った」と説明しました。
「借金じゃない」という点をしっかり伝えたことで、少しは安心してもらえたと思います。
私の経験上、隠し事は後で余計に心配をかけるだけやで。

Q: 取引先にファクタリングの利用がバレてしまうことはないですか?

A: 私が使っている「2社間ファクタリング」なら、取引先に通知が行くことはないので、バレる心配は基本的にありません。
ただ、手数料を安くするために「3社間」を選ぶと取引先の承諾が必要になるので、そこは慎重に判断すべき点ですね。
私も一度それで失敗して、取引先との関係が少しギクシャクしてしまいましたから。

Q: 契約時に一番注意すべきことは何ですか?

A: 間違いなく「契約書」です。
私も一度、流し読みして後悔したことがあります。
手数料以外に不明な費用が書かれていないか、買い戻し(償還請求権)の義務がないか、この2点は穴が開くほど確認してください。
分からないことは恥ずかしがらずに聞くのが一番です。
あなたの会社の大切なお金に関わることですからね。

まとめ

あの時、手数料20%という数字に怯んでいたら、今のタナカ精密工業はなかったでしょう。

もちろん、手数料は安いに越したことはありません。
しかし、会社の存続が危ぶまれる緊急事態においては、スピードこそが何よりの価値を持つことがあります。
ファクタリングは、私たち中小企業にとって、銀行が閉ざされた時の最後の砦になり得る選択肢です。

もし今、あなたがかつての私と同じように資金繰りで眠れない夜を過ごしているなら、一人で抱え込まないでください。
私のこの失敗だらけの体験談が、あなたの会社と家族を守るための一助となれば、これほど嬉しいことはありません。

正しい知識を持って、慎重に業者を選べば、ファクタリングは必ずあなたの会社の力になってくれます。