2社間と3社間ファクタリングの違い – 私が3社間で失敗した理由

by 田中健一 On 9月 8, 2025

1 min read

正直に言うと、私も最初は「手数料が安い」という言葉に飛びついてしまった一人です。

こんにちは、株式会社タナカ精密工業の田中です。
資金繰りに悩む経営者仲間なら、少しでもコストを抑えたいその気持ち、痛いほど分かります。

私も8年間ファクタリングを使ってきて、色々な経験をしました。
その中でも一番の失敗は、手数料の安さだけで3社間ファクタリングを選んで、長年の付き合いだった取引先との関係をギクシャクさせてしまったことです。
あの時の、担当者の冷たい目はいまだに忘れられません。

この記事では、私の苦い経験を包み隠せずお話しすることで、あなたには同じ失敗をしてほしくない、その一心で筆を執りました。

そもそも2社間と3社間ファクタリングって何が違うん?

専門用語は苦手や、という方のために、まずは基本からおさらいします。
難しい言葉は使いません。
私が実際に使ってみて感じた「現場の感覚」で説明しますね。

2社間ファクタリング:取引先に内緒でサッと資金化する方法

これは、「あなた」と「ファクタリング会社」の2社だけで契約する方法です。

一番のメリットは、何と言っても取引先に知られずに資金調達できること。
私も急な設備投資やボーナス支払い前で資金が必要な時は、いつもこれを使っています。
申し込みから入金までが早いのも、本当に助かります。

ただ、ファクタリング会社からすると、取引先に債権の存在を確認できないので、少しリスクが高いんですね。
だから、手数料はどうしても高めになるのがネックやな、という感じです。

3社間ファクタリング:取引先も巻き込んで手数料を安くする方法

こちらは、「あなた」と「ファクタリング会社」、そして「取引先(売掛先)」の3社が関わる方法です。

仕組みとしては、取引先に「この売掛金は、ファクタリング会社に譲渡しますので、支払いはそちらにお願いします」と通知して、承諾を得る必要があります。
こうすることで、ファクタリング会社は売掛金を直接取引先から回収できるので、未回収リスクがぐっと減ります。

その分、手数料が安くなるのが最大の魅力です。
私が失敗したのは、まさにこの仕組みの理解が甘かったからです。

私が3社間ファクタリングで大失敗した話

ここからが本題です。
今思えば甘かったんですが、当時の私は手数料の安さに目がくらんでいました。
あの時の状況と、私の判断ミスを正直にお話しします。

きっかけは「あと2%手数料が安くなる」という甘い誘い

いつも使っていた2社間ファクタリング(手数料8%)の担当者から、「田中社長、この案件なら3社間でやれば手数料6%にできますよ」と提案されたのが始まりです。

売掛金は1,000万円。
2%違うと20万円です。
20万円あれば、従業員に少しばかりの臨時ボーナスも出せる。
そう思った私は、二つ返事でお願いしてしまいました。

取引先への説明:「資金繰りが厳しい」と正直に言えなかった私の過ち

一番の問題はここでした。
もう10年以上お世話になっている取引先です。
そこの担当者さんに「実は資金繰りが厳しくて…」なんて、私のプライドが邪魔してどうしても言えなかったんです。

「いやー、今後の取引拡大に向けた新しい取り組みの一環でしてね。ちょっと新しい仕組みを試してみようと思いまして…」

なんて、苦しい言い訳をしてしまいました。
今思えば、この中途半端で歯切れの悪い説明が、相手の不信感の始まりでした。

関係悪化の決定打:担当者の顔色が変わった瞬間

ファクタリング会社から取引先の経理担当者へ、正式な債権譲渡通知が行った数日後、その担当者さんから電話がかかってきました。

「田中さん、これってどういうことですか?もしかして、うちとの取引、何か問題でもありましたか?それとも…会社、危ないんですか?」

声色が明らかに違うんです。
いつもの気さくな感じが全くない。
慌てて訪問して説明したんですが、一度生まれた疑念は消えません。
どこか壁を感じる、あの気まずい空気は、手数料2%の差額なんかでは到底埋められないものでした。

失ったもの:手数料より高かった「信頼」というコスト

結局、その取引先からの発注は、次の四半期から少しずつ減っていきました。
直接的な原因だとは言われませんでしたが、関係がギクシャクしたのは間違いありません。

手数料を少し安くするために、長年かけて築き上げてきた信頼関係にヒビを入れてしまった。
これが私の最大の失敗です。
「ファクタリングで資金調達=経営が悪化しているのでは?」とあらぬ疑いをかけられるリスクを、私は完全に見落としていました。

失敗から学んだ!2社間と3社間の正しい選び方

私の恥ずかしい失敗談を踏まえて、あなたが同じ轍を踏まないための選び方のポイントをお伝えします。
これは教科書的な話やなくて、私が肌で感じたことです。

2社間ファクタリングを選ぶべき状況

  • 取引先との関係性を何よりも優先したい時
  • とにかくスピードが重要な時(最短即日など)
  • ファクタリングの利用を絶対に知られたくない時
  • 小口の売掛債権を頻繁に利用する時

私の経験上、ほとんどの中小企業はこちらが基本になると思います。
手数料は、信頼関係を維持するための保険料だと考えるようにしています。

3社間ファクタリングを検討しても良い状況

  • 取引先との間に絶大な信頼関係がある時(「資金繰りの相談もできる」レベル)
  • 国や自治体、大手企業など、ファクタリングに理解がある取引先の場合
  • 手数料を極限まで抑えたい、かつ時間に余裕がある時
  • 取引先に正直に状況を説明できる覚悟がある時

これをクリアできるケースは、正直かなり少ないんとちゃうかな、と思います。
もし検討するなら、本当に慎重に進めてください。

よくある質問(FAQ)

Q: 3社間ファクタリングを使う時、取引先には何て説明するのがベストですか?

A: 私の失敗から言えるのは、嘘やごまかしは絶対にあかん、ということです。
「今後の事業拡大のための先行投資で、一時的にキャッシュフローを安定させるためです」など、ポジティブかつ正直な理由を伝えるべきでした。
可能なら、ファクタリング会社の担当者にも同席してもらい、専門家の口から「これは特別なことではないんですよ」と説明してもらうのも一つの手です。

Q: 取引先にファクタリングの利用を知られると、信用は落ちますか?

A: 正直に言うと、落ちる可能性は高いです。
日本の商習慣ではまだ「ファクタリング=資金繰りが厳しい会社」というイメージが根強いのが現実です。
だからこそ、私は基本的に2社間をおすすめしています。
信用を維持するコストと考えれば、手数料の差は決して高くないはずです。
ちなみに、ファクタリングの利用自体は、信用情報機関に記録が残ることはないので安心してください。

Q: 2社間ファクタリングなら絶対にバレませんか?

A: 100%とは言い切れません。
注意したいのが「債権譲渡登記」です。
これは、ファクタリング会社が「この債権は確かにうちのものです」と法的に示すための手続きなんですが、登記情報は誰でも見ることができます。
ですから、取引先や銀行が調べれば分かってしまう可能性があります。
契約時には「債権譲渡登記は必要ですか?不要なプランはありますか?」と必ず確認してください。
優良な会社なら、登記不要のプランも用意してくれています。

Q: 手数料の安さ以外に、3社間ファクタリングのメリットはありますか?

A: ファクタリング会社によっては、審査が通りやすくなるというメリットがあります。
取引先が直接支払うので、ファクタリング会社にとって未回収リスクが低くなるからです。
ただ、そのメリットのために取引先との関係をリスクに晒していいかは、慎重に考えるべきやと思います。

Q: 結局、田中さんは今どちらを使っているんですか?

A: あの失敗以来、私は2社間ファクタリングしか使っていません。
今の担当者とはもう6年以上の付き合いで、手数料もかなり勉強してもらっています。
何より、困った時に電話一本で「田中さん、大丈夫ですよ」と言ってもらえる安心感があります。
妻からも「もう取引先に心配かけるようなことはやめてや」と言われていますしね。

まとめ

今回は、私の恥ずかしい失敗談をお話しさせてもらいました。

資金繰りに悩んでいると、どうしても目先の数字、特に「手数料」に目が行きがちです。
私もそうでした。

しかし、事業は数字だけで成り立っているわけやありません。
長年かけて築き上げてきた取引先との「信頼」は、お金には代えられない大切な財産です。

3社間ファクタリングは手数料が安くて魅力的ですが、その裏には取引先との関係悪化という大きなリスクが潜んでいます。
私の経験が、今まさにファクタリングを検討しているあなたの判断材料になれば、これほど嬉しいことはありません。

あなたの会社と、大切な取引先との関係を守るためにも、慎重に、そして賢明な選択をしてください。

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